屋根裏部屋でホコリをかぶっていた本を引っ張り出して来ました。ちょっと気になった部分だけを取り出して「個人の感想」を書いてます。
 

ある冊子に書かれていたエピソードをこのブログをROMしておられる方が送ってくださいました。

石牟礼道子女史が亡くなり、ミテコサマがお別れの会に出席して花を一輪手向けたとかのニュースのあった後です。

『苦海浄土』は持ってますが、全部読んでいません。
白状すると「気分が悪くなるので」

「銭は1銭もいらん。そのかわり、会社のえらか衆の、上から順々に、水銀母液ば飲んでもらおう。上から順々に、42人死んでもらう。奥さんがたにも飲んでもらう。胎児性の生まれるように。そのあと順々に69人、水俣病になってもらう。あと100人ぐらい潜在患者になってもらう。それでよか」

凄まじい憤怒に圧倒されて読むのをやめれば「おまえも水銀母液を飲んでみろ」と脅迫されているような気分になって、また本を手に取り、別のところをぱらぱらめくってみる。
患者の苦しみをわかるまでにならんといけないのか、同じように手足が震え体がねじれなきゃわからないと言うのか、どうせいって言うんじゃ、わからないやつは等しく水銀母液を飲めと言うのか、とひねくれるのが精一杯。

苦海とは仏教用語で苦界のことだそうだ。
苦しみの絶えない人間界。
それで言うなら、常に左派系運動とつるんで語られる
「水俣病の原因を作った企業あるいは地方行政、国家行政への批判」
「豊かさのために一部の地域あるいは地域住民が犠牲になっている日本の構造」
こういうものも、ある意味一面しか見ていないことにならないか?

チッソ(日本窒素肥料)という会社は、戦前からある。
国策会社として、日本経済の一端を担い、海外にも進出した。

1927(昭和2)年, 朝鮮窒素肥料株式会社設立、世界最大規模の化学コンビナート「興南工場」設立.
1941(昭和16)年, 塩化ビニルの製造開始.
1944(昭和19)年, 世界最大級の水豊ダム完成(70万kw).
1945(昭和20)年, 全国のトップを切ってアンモニア肥料(硫安)の製造再開. 

「東京にゆけば、国の在るち思うとったが、東京にゃ、国はなかったなあ。あれが国ならば国ちゅうもんは、おとろしか。」

国はどうしてくれるもんだと思ったの?
国は戦争を起こした、人はたくさん死んだ、戦に行った兵士も逃げ惑った国民も人だ。
日本窒素肥料は、朝鮮、満州、台湾、海南島など海外における一切の資産を失ない、社員とその家族は無一文になって日本へ帰って来た。
彼らを受け入れたのは水俣工場である。
延岡工場は、財閥解体で「旭化成工業」という別会社になっており、日本窒素肥料には水俣工場と小規模な発電所数ヶ所、国の指定工場だったのでアメリカ軍の空爆を集中的に受け、屋根のある建物は一つもなかった。
そんなところへ興南工場からだけでも3万人が引揚げてきている。
小さな漁村の瓦礫と化した工場跡に大量の難民がやってきた図を想像してみてほしい。

石牟礼道子の『苦海浄土』だけで水俣病を語り、会社や国の無責任を糾弾することだけで終ってしまっていいのか?
患者さんたちの苦しみをまともに受け止められない人間が何を言うと言われそうだけれども、
石牟礼道子『苦海浄土』とミテコサマ美談しか聞こえてこないので、あえて。

>よくわかるのは石牟礼さんの「でもねえ」なのである。
>だからといって天皇制をなんとはなしに受容したり、皇室の手を借りてなにごとかをなそうとしたりするのはあやういと思う。
>天皇夫妻の存在を晴れがましいことの象徴とし、この国の〝モラル・スタンダード〟であるとするのも知的後退である。

「でもねぇ」と私も言う。
この頃では、皇室の手を借りてなにごとかをなそうとしたりするのは、どちらかと言えば、
石牟礼さんやその礼賛者の方に多いよね。
天皇制批判はどっかに飛んじゃってる感がある。
天皇皇后とは言うけれども、
石牟礼さんが言っているように

「美智子さん」

なんですよ。

でも思うんですよ。
石牟礼さんの会われた皇后が「美智子さん」だったのは、この一主婦であり偉大な詩人だった石牟礼さんにとって「残念なこと」の範囲に入るのではなかろうか?
皇太子妃雅子さまとお話になる機会があれば、おそらくは「美智子さん」とは違ったものを、詩人の魂に何か打ち響くものを感じられたのではないか?
そんな風に思うんですよ。
石牟礼さんの「でもねえ」というのは、辺見氏が危惧するような「象徴」の問題ではなくて、何か「ただの美談」で終ってしまっているその軽さが入っているのではないかと思ったりもするんです、わかりませんけどね。
なんたって

「美智子さん」

ですよw
「親しみ」というよりは、存在が軽い気がするんです。

まして国民は平成のリョーヘーカを〝モラル・スタンダード〟と見てましたかねぇ?
むしろ見ないふりをしてあげていた気がするんですけどね。
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